消防用設備点検が必要な建物
個人住宅を除くほとんどの建物(防火対象物)には、法令に定められた消防用設備の設置が義務付けられており、設備設置義務のある建物=消防用設備点検が必要な建物となります。
消防用設備点検が必要な建物は、「特定防火対象物」と「非特定防火対象物」の2つに分けられますが、いずれの場合でも適切な点検を怠ると大惨事を起こしかねません。
紛らわしいのは、消防用設備の設置義務が、建物の用途と延べ面積などによって細かく規定されているため、単純に建物の用途だけで点検の必要性が決まっていない点です。
例えば、アパート(共同住宅)は防火対象物ですが、消火器具の設置は延べ面積150m2以上と規定されています。したがって、一部の小規模なアパートは消防用設備点検の義務がないことになります。
まずは、建物の用途から点検対象を覚えましょう。
特定防火対象物(点検報告は1年に1回)
以下の表でわかるように、不特定多数が出入りする建物、火災時に避難が困難な要介護者等が利用する建物は、特定防火対象物とされ、1年に1回の点検報告が義務付けられています。
| 項番 | 建築物の用途 | |
|---|---|---|
| (一) | イ | 劇場、映画館、演芸場、観覧場 |
| ロ | 公会堂、集会場 | |
| (二) | イ | キャバレー、カフェー、ナイトクラブ等 |
| ロ | 遊技場、ダンスホール | |
| ハ | 性風俗関連特殊営業を営む店舗等 | |
| ニ | カラオケボックス、個室ビデオ店、漫画喫茶、インターネットカフェ等の個室型店舗 | |
| (三) | イ | 待合、料理店等 |
| ロ | 飲食店 | |
| (四) | 百貨店、マーケット等の物品販売店舗、展示場 | |
| (五) | イ | 旅館、ホテル、宿泊所等 |
| (六) | イ | 病院、診療所、助産所 |
| ロ | 避難困難者(要介護者・障害者等)を主として入居・入所させる社会福祉施設 | |
| ハ | 老人デイサービスセンター、認定こども園等の社会福祉施設 | |
| ニ | 幼稚園、特別支援学校 | |
| (九) | イ | 公衆浴場のうち蒸気浴場、熱気浴場等 |
| (十六) | イ | 複合用途防火対象物のうち、建物の一部が(一)~(四)、(五)イ、(六)イ、(九)イの用途で利用されているもの |
| (十六の二) | 地下街 | |
| (十六の三) | 地下街を除き、地階で連続して地下道に面して設けられたものと当該地下道とを合わせたもので、(一)~(四)、(五)イ、(六)イ、(九)イの用途で利用されている部分があるもの | |
特定防火対象物のうち、延べ面積1000m2以上の建物は、有資格者(消防設備士または消防設備点検資格者、以下同じ)による点検が必須です。
また、(一)~(四)、(五)イ、(六)イ、(九)イの用途部分が地階または3階以上にある建物で、屋内階段が1つしかない建物は、延べ面積にかかわらず有資格者による点検が必須なので注意してください。
非特定防火対象物(点検報告は3年に1回)
非特定防火対象物(特定防火対象物以外の防火対象物)には、比較的出入りする人が決まっている建物が多く含まれています。
| 項番 | 建築物の用途 | |
|---|---|---|
| (五) | ロ | 寄宿舎、下宿、共同住宅 |
| (七) | 小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、高等専門学校、大学、専修学校、各種学校等 | |
| (八) | 図書館、博物館、美術館等 | |
| (九) | ロ | 公衆浴場のうち蒸気浴場、熱気浴場等に該当しないもの |
| (十) | 車両の停車場、船舶若しくは航空機の発着場 | |
| (十一) | 神社、寺院、教会等 | |
| (十二) | イ | 工場、作業場 |
| ロ | 映画スタジオ、テレビスタジオ | |
| (十三) | イ | 自動車車庫、駐車場 |
| ロ | 飛行機、回転翼航空機の格納庫 | |
| (十四) | 倉庫 | |
| (十五) | その他の事業場 | |
| (十六) | ロ | 複合用途防火対象物のうち、建物の一部が(一)~(四)、(五)イ、(六)イ、(九)イの用途で利用されていないもの |
| (十七) | 重要文化財、史跡等 | |
| (十八) | 延長50m以上のアーケード | |
| (十九) | 市町村長の指定する山林 | |
非特定防火対象物において、延べ面積1000m2以上の建物で、消防長または消防署長が火災予防上必要があると認めて指定するものは、有資格者に点検させなくてはなりません。
ただし、消防長または消防署長の指定は、地域によって若干の違いがあるとはいえ、非特定防火対象物のほぼ全てが対象にされています。
したがって、延べ面積1000m2以上の建物は、特定・非特定にかかわらず(用途に関係なく)有資格者の点検が必要だと覚えておくのが無難でしょう。
全域放出方式の二酸化炭素消火設備に注意
消防法施行令の改正(令和5年4月1日施行)により、全域放出方式の二酸化炭素消火設備が設置されている建物は、有資格者による点検が必須となりました。
全域放出方式の二酸化炭素消火設備
閉鎖空間(防護区画)に二酸化炭素を放出することで、空間の酸素濃度を下げて消火する消火設備。地下駐車場、機械式立体駐車場、ボイラー室、電気室、機械室などに設置されているケースが多い。
こちらは建物の用途や延べ面積の要件がありませんので、設置している建物の関係者は、必ず有資格者へ消防設備用点検を依頼するようにしてください。



